タムラクリニック

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ハナコ短信

2023年5月16日

モフモフ(前編)

5月なかばになっても雨が降ると肌寒く感じられます。雨音を聞きながら窓若葉をぼんやり眺めていると、数年前に逝った犬の暖かくて柔らかなモフモフした感触が呼び覚まされました。銀のフォトフレームの中のモノクローム写真のモフモフさんがこちらの世界を見守ってくれています。

ヨークシャーテリアの女の子を迎えて1週間、“しあわせはあったかい子犬 (スヌーピーコレクション)” 状態だった我が家は、パルボウイルスのために奈落の底に落とされました。獣医さんから「今夜が山です」宣告を受けていましたが、奇跡的に回復して間もなく退院しました。この犬は幸福と幸運を携えてやって来ました。温かい子犬の上に花が咲き、散る花を見送りました。梅雨が明け、夏休みが始まり、法師蝉が夏の終わりを告げ、影が長くなって肌寒くなると皆が競ってソファの犬の隣に座りました。冬の夜にタータンの毛布の上で眠るその寝息は何事もなかった一日の平和でした。
月日は流れて、15歳の誕生日を過ぎる頃には少し大人しくなり、横になる時間が長くなりましたが、容姿と運動能力は衰えを知りませんでした。「このままずっと元気でいてほしい」そう願っていました。

しかし、その日はやって来ました。家族が寝静まると吠えるようになり、最初のうちは部屋を薄明るくして寝つくまで見守ると鎮まりました。ある晩、繰り返し名前を呼んでも分からない様子で吠え続け、心はそこにはなく、思いつめたような目で何かを警戒していました。夜間譫妄でした。翌日、祈るような気持ちで、ある漢方薬をおやつ用のソフトささみにまぶして与えると、小さな舌で恐る恐る確かめてからパクリと口に入れ、それを数回繰り返しました。その夜は寝息になるまで付き添いました。2週間ほどして平穏になると急に食べなくなりましたが、その後は本能のような感覚なのか、身体が必要とする時に漢方の顆粒を直接舐めて服薬するようになりました。

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